Dorcus属っぽいの
 Arrow(1949)は大別主義で、ノコギリクワガタProsopocoilus属 をがっつりDorcusにまとめてしまった。その結果大量の2次ホ モニムが発生することになり、『Fauna of India』を見ていると「えっ?」という虫が結構いる。
 もちろん、F編集長が♀を見て「これDorcus じゃない の?」と言ったProsopocoilus dentifer のような種もいるから近縁と判断するのは同意できるが、ギラファノコに「Dorcus giraffa」と書いてあるのは納得できない。しかし、 Arrowがまとめたものの納得できる一部と、それ以外にも「Dorcus と分ける 必要はないんじゃないのか?」と考えたい種や、新大図鑑でDorcus に まとめられたもののホモニム処理が放ったらかしになってしまったウスバクワガタなどをここ(Dorcus の部屋の隅っこ)に並べておく



Prosopocoilus
Digonophorus
Aulacostethus
ウスバ
Arrow(1949)
Dorcus Dorcus Aulacostethus
Kikuta(1985)
Prosopocoilus
Aulacostethus Dorcus
Mizunuma(1994)
Prosopocoilus Digonophorus Aulacostethus Prosopocoilus
Maes(1982-1991)
Prosopocoilus
Aulacostethus Miwanus
Krajcik(2001)
Prosopocoilus Digonophorus Aulacostethus Prosopocoilus
Fujita(2010)
Prosopocoilus Digonophorus Dorcus Dorcus


Digonophorus elegans (Parry,1862)
セスジクワガタ
Cladognathus 属で記載されたが、 ArrowはもちろんDorcusにしている。セスジの名前は♀の 形態からで、どの種も♂の鞘翅は光沢がある

Darjeeling E.India


Darjeeling E.India



Digonophorus costipennis Nagai, 2000
クロセスジクワガタ
野瀬調査団によってミャンマー北部から得られ、永井信二氏によって2000年に記載された。♂の色は漆黒で光沢があるが、♀は前種に似ている。

Chudu razi E. Kachin




Digonophorus rubrolateris Nagai, 2000
アカヘリセスジクワガタ
 野瀬調査団によってミャンマー北部から得られた新種群の1つで、前種と同時に記載された。前種に似るが、色の他に前胸の形状も異なり、♀も区別できるよ うなので別種でよいと思われる

Chudu razi E. Kachin



Dorcus formosanus (Miwa,1929)
ウスバクワガ タ
Leptinopterus 属で記載され、Sakaino(1981)でProsopocoilusに され、細分主義のMaesにはホモニム処理が生じかねないことを考慮したためかMiwanus(属 の格の問題でそのときは種名がformosana)などという創設 属に入れられ、Mizunuma(1994)で再びProsopocoilusに、 そして新大図鑑でDorcusにされた。が、その結果タイワンオオクワとホモニム関係になっているが処理無し

萬大 南投県


拉拉山 桃園県



Prosopocoilus capricornus Didier, 1931
カプレコルヌスノコギリクワガタ
ウスバの赤色型とほとんど変わらない。広東省には大腮の湾曲が強い近似種がいる

HaGiang N. Vietnam








Aulacostethus archeri Waterhouse,1869
アーチェルニセヒラタクワガタ
2001年の大手町にてHolotype標本より大腮の伸びた大歯型の活き虫が登場したが、そのときのお値段は「Ask!」
まぁ当時乗ってた車よりは安かったが…その後♀が入荷・ブリードに成功、飼育落ち品の不完品を気にしなければ何とか手に入るようになってきた
♂は背面から見ると複眼が目立たないので解りやすいが、このグループは♂♀とも前脛節先端が外に拡がり、後脛節端棘が長いので他属と区別でき、怪しい♀を 見つけたときの判断基準にできる
 ♂の大腮は大型になっても最基部の内歯の位置がほとんど変わらず、2本の内歯の間が伸びていくという他の種には見られない歯型変化をする

Nepal

Nepal

Trisuli Nepal

Trisuli Nepal

Aulacostethus ruditemporalis (Houlbert, 1914)
ニセヒラタクワガタ
 頭部に大きなへこみがある、2つの内歯が近接するなどの形状はベトナム北部に産するdoani Baba, 2000 に似るが、表記の種に相当すると思われる
 中国南部の高標高地に棲息し、日中は土中に潜み夜間地上を歩行するらしい

浙江省

四川省

西天目山