Dorcus tityus Hope,1842
ティティウスヒラタクワガタ
アジア各地に分布する広域種。各産地で特徴的な形態が見られるが、変異が重なったりしているので今のところ亜種として区別されている個体群はない。
海外のサイトなどではMaes(1991)以降本種をlineatopunctatus Hope,1831 としている場合が多いようであるが、Krajcik のカタログでは?マークが付けられ、シノニムとされている。この種は♀で記載されていて、tityus の記載より古いから『有効な記載』で『タイプ標本が確かに本種の♀個体』であればlineatopunctatus を使うことになるが、ダモアゾヒラタが産する国の住人としてはもう少し推移を見守りたい。
ミャンマーティチウス
ミャンマー Chin
ミャンマーティティウス
ミャンマー Chin
湖南ティチウス
湖南省
四川ティティウス
四川省 都江堰
タイティティウス
Fang Chiang Mai
タイティティウス2
Fang Chiang Mai
カオバン
Tamdao


インドティティウス
Darjeeling
ティティウス
Darjeeling


Dorcus miwai Benesh,1936
ミワオオクワガタ(ミワヒラタクワガタ)
小型個体や♀の比較からtityus の代置種だと思う
ミワオオ
松崗
松崗ミワ
獅子頭
miwai
松崗
ミワs
松崗

Dorcus affinis
(Pouillaude,1913)
アフィニスヒラタクワガタ
ベトナムに原名亜種とssp.ohtai、タイにssp.kenkichii が分布している。
アッフィニスヒラタ
Sapa
afinis
Sapa
afinis
Sapa
afinis
Sapa
afinis
Sapa

afinis
Laos 産 原名亜種で良いと思う
 
ssp. ohtai Ikeda,1998
Caobang
Caobang

中型・小型個体では内歯の突出が弱い
Caobang
Caobang


ssp. kenkichii Tsukawaki,1998
たぶんこれで最大級
タイ
Fang
タイ
Fang:Paratype
tai
Fang:Paratype

Dorcus hansi Schenk,2008
ハンスヒラタクワガタ
ヨシナリヒラタクワガタ D. yoshinarii Tsukawaki, 2008 は本種のシノニム。両記載を見ると産地は海南島と広西チワン族自治区だが、貴州省南部にも分布している。大型個体は一見ギリアンヒラタクワガタ Dorcus ghilianii (Gestro,1881)に似るが、小型個体では鞘翅に点刻列が目立つのでhyperiontityusに近いと思う。
ヨシナリヒラタ
海南島
ヨシナリヒラタ
大瑤山
ヨシナリヒラタ
海南島
ヨシナリヒラタ小型
Mt.Heiling(Alt 1560m) Changjiang C.
Dorcus hyperion Boileau,1899
ヒペリオンヒラタクワガタ
分布が狭く、ほぼミャンマーからわずかにインドにかかったエリアに産する。Arrow(1950):Fauna of Indiaには図示されていたし、稲原コレクションにも小型個体があったが、長らく追加標本は入ってこなかった。1999年以降ドッと入ってきたが、最近 はまた入荷が減っている。Chin Hillsに分布するものは大腮先端に内歯がほとんど見られず亜種idei Fukinuki, 2000として記載されたが、区別点の一つとされている内歯の形状は変異が大きく、区別しにくい個体も見られる。
hiperionn
Chin Hills Myanmar
原名亜種
Ruby Mines Myanmar
myanmar
Chin Hills Myanmar

Dorcus kucerai Baba,2008
クセラヒラタクワガタ
記載時の産地はインド北西部となっているが、パキスタンにも分布している。記載文にもあったようにこの周辺からは何種かのDorcus 属が書かれているわけだが、『brachycerusfuliginosus はArrowやDidierがsubmolarisのシノニムにしているから検討しない』というのはどうな の か。もちろんシノニムの可能性は高いが、Didierが自分で記載したfuliginosus はともかく、Boileauは違いを見つけたから新種にしたんだろうし。だいたいほぼ同じ体長のsubmolaris の画像が比較画像にないっていうのも…。
kucerai
Batgram Pakistan







Dorcus meeki Boileau,1906
ミークヒラタクワガタ
 Papua New Giniaに原名亜種、Mt.Arfak周辺に♀の鞘翅に光沢のある亜種delislei Nagai et Tsukawaki,1999,Wamena周辺に大腮の太い亜種jasmini
Nagai et Tsukawaki,1999が分布する。その亜種名になっているDe Lisleは1967年にWauからmeekiの亜種 didieristevenseeを記載したが、2亜種が同所分布しているというのは考えに くい。ただ、Arfakなどには図示したような内歯が先端に寄る個体群も分布していて、♀も2系統いるところから近似の2種が混在しているのではないかと 言われている。
ミーク
Bulolo P.N.G
meeki
Aseki
左の2頭は産地から見て原名亜種に相当すると思われる 個体群

Irian Jaya Mt.Arfak には、以下のように内歯が大腮先端に出る個体群(ssp.didieri ?)と内歯が基部に寄る個体群(ssp.delislei)が分布し、♀も少なくとも2系統存在する。

ssp.didieri ?
meeki
Mt.Arfak
meeki
Mt.Arfak
meeki
Mt.Arfak Irian Jaya
arfak
Mt.Arfak
meeki
Mt. Arfak

meeki
Mt. Arfak
meeki
Mt. Arfak

ssp. delislei
Mt.Arfak
Mt.Arfak:Paratype
meeki
Mt.Arfak:Paratype
meeki
Mt.Arfak:Paratype

jasmini
meeki
Wamena Irian Jaya:Paratype
Dorcus hamidi Ikeda,2005
ハミッドオオクワガタ
今までのところインドネシアイリアンジャヤのEnarotali周辺からのみ得られているが、近似の小型個体が別の場所から採れてはいるようだ。
もっとも、ニューギニア島自体でかいわ谷が深いわ山が高いわで、何がどう分布していても不思議さは感じない。
hamidi
Enarotali W.Irian
hamidi
Enarotali W.Irian


Dorcus nosei Nagai,2000
ノセオオクワガタ
野瀬幸信氏グループの調査でPutaoから得られた種だが、その後は採集されていないようである。ミャンマー産Dorcus としては中型種だが、歯型の変化がミンダナオパリーっぽくて興味深い。
ノセオオクワ
Mt.Namban W.Putao Kachin



Dorcus rama (Boileau,1897)
ラマヒラタクワガタ
スマトラ特産種
ラマヒラタ
Berastagi
rama
Solok
ラマs
Lampong
rama
Padang
Dorcus reichei Hope,1842
ライヒヒラタクワガタ
台湾はもちろんインドネシアやマレー、大陸側でも中国からインドシナ半島東部あたりまではわかりやすいが、それより西では似たような種がやたらと存在して いて、どの大型個体がどの小型個体と対応するのかさえ完全にはわかっていない。多くの種がライヒのシノニムで消されているが、将来復活するものも結構あり そうだ。
ssp.reichei
ライヒ
Darjeeling India
reichei
Darjeeling
ライヒ
Sapa Viet Num
reichei
Wianpapao Thailand
ライヒ
Xieng Khouang Laos
reichei
Dawna Burma
reichei
Dawna Burma

ssp. hansteini (Albers,1889)
スマトラ産、次亜種に似るが小型

Bengkulu Smatra Indonesia



ssp.prosti (Boileau,1901)
マレー半島・カリマンタン島。もっとも大型になる亜種。
ライヒ
Sabah
ライヒ
Sabah
reichei
Mt.TrusMadi
reichei
Kimanisu
ssp.hirticornis  (Jakowleff,1896)
中国。 産地境界は曖昧だが、大腮の下側に褐色の毛が生えているので区別はしやすい。台湾産のセスジオオがライヒの亜種とされたのは、セスジオオの一部に この毛が生えている個体が見られるのも理由の一つである。
hirticornis
四川省 都江堰
hirticornism
hirticornis
四川省 都江堰
hirticornis
四川省 都江堰
hirticornis
四川省 都江堰
hirticornis


hirticornis
海南島
hirticornism
左の海南 島産も大腮を見る限りssp.hirticornis で良いようだ。

ssp.clypeatus Benesh,1950
台湾のセスジオオクワガタ。
セスジオオクワ
南投県松崗
セスジオオ♀
南投県松崗

普通の大 きさではライヒなのかどうかわからないような形態だが、「大型の個体では小内歯の痕跡が」と言われ、今までに2頭完全大歯らしいものが図示された ことがある。ひとつは『分類原色日本昆虫図鑑:8鞘翅目』で台湾産のコクワガタとして、もう一つはイタリアの『IL CERVO VOLANTE(Coleoptera, Lucanidae)』のtaroniコレクションの中にTAIWAN産のライヒ大歯がある。また、永井信二氏も台湾の灯火下で、何者かに腹部を食われた 「ラ イヒかスジの大歯」を目撃されたことがあるという。
Dorcus sp.
上記のようにタイ以西にはライヒっぽい個体群が何種か分布しており、いずれも内歯の「パターン」だけはライヒと同じだがたぶん別種。新大図鑑でも扱いに 困ったと見えていくつもDorcus sp.のままになっている
ミャンマーにはライヒっぽいがツヤや頭楯、内歯の形状が異なる種が何系統も存在している。
下の個体は竹澤氏のブログサイトで『affinis?』として紹 介されているものと同じ個体群だと思う。
不明種
Myanmar







Dorcus sp.
これも同様、新大図鑑で「フトライヒヒラタ」とされている個体群
不明種
Myamar